ルーテル教会とは

宗教改革者 マルティン・ルター

 

日本福音ルーテル都南教会へようこそ

 「ルーテル」とは宗教改革者マルティン・ルター(1483〜1546)の「ルター」のことで、ドイツ語では「ルーテル」という発音に近いためにこの呼び方が受け継がれて来ました。
 カトリックの修道士であったルターは、当時の教会の教えや因習に疑問を抱き、本来の教会に戻るようにと提案(通常「95カ条の提題」と呼ばれるもの)したことを契機にして、ドイツのヴィッテンベルクからヨーロッパ中に、延いては世界中にこのうねりが広がって行きました。1517年10月31日のことでした。
 「本来の教会」とは何か。どこに根拠があるのか。この答えを求めたのが聖書でした。ですから、ルーテル教会の特徴は、常に聖書に根拠を置き、そしていつも聖書に戻るというものです。

 

聖書を福音的に読む

 

 プロテスタント教会の共通した教えは、「聖書を根拠にする」というものです。ただ、聖書には実にたくさんのことが書かれていますし、それも2000年以上も昔に書かれたものですから、それをどのように解釈するのか、同じプロテスタント教会の中でも幅広いものがあります。それぞれに特徴があるのです。

 

 ルーテル教会の場合には、ルターや彼の後継者たちが築いた教えを大切にしています。それは「福音的な教え」と言うものです。同じ聖書の箇所でも、神様の厳しさや厳格さに重点を置いて読むか、慈しみに満ちた暖かい眼差しに置くかで、ずいぶんと異なって来るはずです。「・・・しないと、神様から叱られるよ」とか「・・・すれば神様から愛してもらえるよ」という視点で聖書を読むのか、「そんなに自分を責めなくても良いんだよ」、「神様はあなたの弱さや誤りをそのまま赦してくださっていますよ」という視点で読むのか、大きく違って来るのです。

 

 ルターの教えは後者でした。神様の愛、イエス・キリストの十字架を「冬場の暖かい太陽の眼差し」のように理解し、私たちの弱さや欠点を責める前に、まず「赦して下さっている」という事実を語った人でした。人は愛されていることを実感したときに、素直に自分の弱さや過ちを認め、そこから少しずつ立ち上がって行くものだと思いますが、まさにこれと同じなのです。

 

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 ルターはこの狭い部屋で10週間かけて新約聖書を全訳した(ヴァルトブルク城)。

 

 

ルーテル教会の礼拝の特徴

 

 礼拝の特徴としていくつか挙げることができます。
 まず「説教と聖餐」という二つの柱を大切にすることです。説教とは聖書の説き明かしです。福音書を中心に、そこから「福音」を読み取り、それを牧師は分かち合うのです。聖餐とはイエス・キリストの最後の晩餐を継承する礼典ですが、イエスが弟子たちに「パンとぶどう酒」を分かち与えられたように、パンとぶどう酒にみんなが与るのです。ルターは聖餐理解にとてもこだわった人でした。それは「パンとぶどう酒」の中に、イエス・キリストが共に居て下さるというものでした。それを心から信じる人には慰めと力が与えられるのです。

 

 次に歌うこと。ルター自身が讃美歌をいくつも作っていますし、あの大作曲であり、オルガン演奏家でもあったヨハン・セバスチャン・バッハ(1685〜1750)はルーテル教会に属し、ルターの教えを忠実に受け継いだ人でした。ルーテル教会の礼拝では礼拝式文を伝統的に用いていますが、信仰的な言葉を音楽に合わせて歌うように構成されてます。私たちの都南教会も力強く歌う教会です。聖歌隊の活動もとても活発です。 

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  バッハの活動の拠点であったライプツィヒ・聖トマス教会にあるバッハ像

 

 もうひとつ特徴を挙げるならば、伝統的な遺産を重んじることです。厳かな礼拝式を大切にし、牧師は礼服を着用し、聖卓にはろうそくがあり、教会暦を表現するクロス(布)が置かれています。これらはすべて教会で長年培われ、継承されて来た宝物と言えるでしょう。

 

宗教改革500年記念事業

 

 2017年に宗教改革500年を迎えました。11月23日に長崎のカトリック浦上教会で開催された、日本のカトリック教会と日本福音ルーテル教会との合同礼拝は記念すべき行事となりました。詳しくは「日本福音ルーテル教会」のホームページを閲覧ください。

 

 なお、日本福音ルーテル教会では宗教改革500年を記念してシンボルマークを掲げました(デザインを公募しました)。それぞれの意味は以下の通りです(日本福音ルーテル教会ホームページから)。

 

日本福音ルーテル都南教会へようこそ

 

【十字架】
十字架はキリストの苦しみのしるし。しかし、それは、神の愛と恵みのしるし。
十字架は、つながりのしるし。垂直には神と人、水平には人と人。
そして十字架は、私たちの希望のしるし。交わる点には希望の灯がともる。
 【手】
神の恵みを受け取った手。
それは、感謝と平和を求める心を宿し、導かれて祈りの姿とされる。
そして祈りは、恵みを分かち合うための手とされる。
 【色】
5つの色は、全世界。
神の恵みと福音が全世界へと伝えられた歴史を証しする。
500年前に起きた改革の世界史的な意義を思い起こし、世界中で共に
記念する時となる。

 

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 また全国の教会、施設、学校、幼稚園・保育園で、マルティン・ルターをデザインしたバナー(ドイツ福音主義教会EKDのデザインをお借りしました)を掲示しましたが、都南教会の会堂外壁にこのバナーを昨年末まで貼り付けました。

 

 

 

ルーテル教会の群れ

 

 ルーテル教会は、日本国内に大きく4つの教会・教団があります。都南教会の属する「日本福音ルーテル教会(JELC)」は、全国に117の教会(礼拝所も加えると138)が点在しています。教会だけでなく、学校、施設(社会福祉関連など)、幼稚園・保育園などの他法人や他団体との繋がりも深く、「るうてる法人会連合」というグループを組織しています。そこには226の諸グループが属しています。
 日本福音ルーテル教会の会員は2万人ほどですが、教会員として活動している実施的な会員は1万人程度です。
 世界のルーテル教会は「ルーテル世界連盟(LWF)」によって組織されており、日本福音ルーテル教会もここに属しています。加盟して教会は100ヶ国に及び、会員数はおよそ7,000万人で、世界最大のプロテスタント教会になります。
 日本福音ルーテル教会がパートナーシップを持っている海外教会は、米国、フィンランド、ドイツ、ブラジルです。

 

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